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第72回 過換気症候群(過呼吸)
タイトル急に息苦しくなり、浅い呼吸を繰り返しているうちに苦しさは増し、めまい、手足のしびれ、不安感などに襲われる。
若い女性に多く見られる過換気症候群(過呼吸)とはどんな病気なのでしょうか?

監修/榎本稔(榎本クリニック)
イラスト/トシダナルホ

原因

呼吸器系の心身症の一つで、精神的・肉体的ストレスがきっかけとなり、不安感や恐怖感がつのり、発症するケースが多いようです。
過呼吸により体内の血液のpHが正常時の「弱アルカリ性」から「アルカリ性」に傾き、呼気の回数が増加するため、吐く息に含まれる炭酸ガスが体外に多量に排出されます。
血中の二酸化炭素濃度が異常に低くなることによって、さまざまな症状が引き起こされるのです。

症状

発作は大半が30~60分で自然に治りますが、「このまま死んでしまうのでは……」という不安感や恐怖感が強い場合は、数時間症状が改善しないこともあります。

代表的な症状
◎息苦しさ
◎めまい
◎動悸(どうき)
◎頻脈
◎頭痛
◎手足のしびれ
◎不安感
◎けいれん など

診断

過換気症候群と似たような症状の疾患(狭心症、気胸、気管支ぜんそく、脳腫瘍〈しゅよう〉、日射病など)もあるので、これらと鑑別するために採血を行い、血中の酸素濃度と二酸化炭素濃度を調べたのちに診断を下します。

発作との向き合い方

常に紙袋(ビニール袋)を携帯し、「そろそろ来るかも」と感じたら、事前にペーパーバック法の準備をするなど、自分なりの対処法を持つことが症状の悪化を防ぐことにもつながります。
自身の身体から発せられる声を感じ取り、早めの対処を講じておくことで精神的にも余裕が持てるのではないでしょうか。
また、腹式呼吸や自律訓練法など、リラックスを促す方法を身に付けておくのもおすすめです。
頻繁に発作が起こるという場合は、主治医と相談の上、予防的に抗不安薬など薬物療法を併用するという方法もあるでしょう。

ペーパーバック法
紙袋(あるいはビニール袋)で口を包み込むように(密閉はしない)して、中に息を吐き入れ、それを再度吸い込むという、過呼吸の対処法としてはポピュラーなものです。
不足した二酸化炭素を体内に吸い込み、アルカリに傾いた血中pHを正常の弱アルカリ性へと戻すわけです。
ただし、救急車で病院に運ばれてくるような重度の過呼吸の場合、この方法では治まらないこともあります。
こうしたケースでは、精神安定剤(注射)などが投与されることも。

治療法

症状の程度には個人差がありますから、心療内科や精神科を受診し、自分の症状に適した治療を受けることが大事です。
抗うつ薬を用いた薬物療法や、カウンセリングが必要な場合もあります。

お答え

過呼吸の発作が時々あるのですが、何が原因か自分でもわかりません。
特に不安やストレスを感じることはないのですが、それでも過呼吸は起こるのですか?

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毎日穏やかな日々を過ごしている人でも、過呼吸の発作が出ることはあります。
ただ、それは本人が自覚していないだけで、実際は「このままでいいのか」「毎日むなしい」といった漠然とした不安を抱えていることも考えられます。

榎本 稔

心療内科医
榎本 稔

1月11日生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、医学博士。日本外来精神医療学会理事長。成増厚生病院副院長、東京工業大学保健管理センター教授を経て、榎本クリニックを開業。 榎本クリニック/電話 03(3982)5321