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第60回 五月病・六月病
タイトル5月、6月という限られた時期に表れる、うつに似た症状。正式な病名ではなく、医学的には「適応障害」に分類されています。
新しい環境に置かれたとき、誰もがかかる可能性のある病気でもあります。
早速、その正体を探ってみましょう。

監修/榎本稔(榎本クリニック)
イラスト/トシダナルホ

五月病・六月病とは

かつては、大学受験が終わり、目標を達成したあとの虚脱感から発症することが多かったため、五月病と呼ばれていました。
ところが最近では、研修を終えた新社会人たちが本格的に仕事を任され始める6月頃にも発症するケースが増えたことから、並列して新五月病、あるいは六月病と呼ばれるようになりました。

原因

新しい環境に適応しようと必死に頑張って1~2ヵ月たった頃、知らず知らずにたまっていた心身の疲れがさまざまな症状として表れます。

主な原因
頑張っているのに新しい環境に順応できない、人間関係をうまく築くことができない

入試・入社という大きな目標を達成し、次の目標が見つけられない虚脱感

想像していたことと現実のギャップが大きく、それを受け入れられない

症状

五月病・六月病は、一般的にまじめできちょうめんなタイプがかかりやすい傾向にあります。
疲れが取れない、食欲がない、何事もやる気がないなど、身体と心の不調が2週間以上続いたら、五月病・六月病が疑われます。

身体に表れる症状
めまい、吐き気、肩こり、頭痛、便秘、下痢、すぐに疲れる、だるい、朝起きられない、熟睡できない、夜眠れない、食欲の減退、など

心に表れる症状
何事にも意欲が持てない、すべてが面倒でおっくう、物事を決定したり選ぶことができない、集中力が続かない、これまで興味があったことが楽しいと感じない、気分が沈みがち、不安や焦りを感じる、イライラする、など

ブルーマンデー症候群

一週間の始まり、月曜日の朝は大半の人にとって憂うつ度が高いはず。
「はぁ~、行きたくないな~」程度のブルー度なら問題ナシですが、頭痛や吐き気、動悸(どうき)などの症状があったら「ブルーマンデー症候群」。
しかもそれを我慢し続けていると、ある日パタリと通勤できなくなってしまう……、そんなケースもあるようです。

予防法

頑張り過ぎてしまうことが、この病気の引き金ともなりうるので、まずはオンとオフを切り替えて、気分転換をうまくすることを心がけましょう。

オンとオフをスッパリ切り替える
帰宅後や休日は、趣味や自分にとって快適なことをして仕事のことはスッパリ忘れましょう。
オフを存分に楽しめれば、心のエネルギーもチャージされるはずです。

適度な運動
「セロトニン」という脳の中にある神経伝達物質の不足がうつ病の原因といわれていますが、五月病にも無関係ではありません。
セロトニンを活性化するには、ジョギングやウォーキングなどの運動が適しています。

5~8時間の睡眠を確保
セロトニンを適度にキープするには睡眠も重要です。
自律神経を正常に保つためにも朝起きたら太陽の光を浴び、夜はお酒を控えめにして質のいい眠りを確保しましょう。

お答え

新しい職場に移り、今は早く仕事を覚えるために休日返上で頑張っています。
こんな状況の中でも、うまく気分転換する方法を教えてください。

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休日が取れない場合は、帰宅してから就寝までの間にリラックスタイムをつくってみてはいかがでしょう。
ゆったりした気持ちでハーブティーを飲んだり、好きな音楽を聴くなど、くつろげる時間を持つことで、心身の緊張がほどけていきます。

榎本 稔

心療内科医
榎本 稔

1月11日生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、医学博士。日本外来精神医療学会理事長。成増厚生病院副院長、東京工業大学保健管理センター教授を経て、榎本クリニックを開業。 榎本クリニック/電話 03(3982)5321