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第51回 全般性不安障害(GAD)
タイトルちょっと聞き慣れない病名かもしれませんが、若い女性の間では発病率が高いといわれています。
一体、どんな病気なのでしょうか?
今回は、この全般性不安障害について紹介していきましょう。

監修/榎本稔(榎本クリニック)
イラスト/トシダナルホ

全般性不安障害ってどんな病気?

誰にでも不安や心配事はありますが、たいていは時間とともに薄れてきたり、「悩んでいてもしょうがない」と気持ちを切り替えたり、気分転換をするなどしてやり過ごしているのではないでしょうか。
ところがこの病気は、常に不安や心配で心が覆われていて、落ち着きがなくなり、ひどいときには身震いが起こることもあります。
同時に不眠や頭痛、吐き気といった身体症状も伴うようになり、それが長期間続きます。
発症率は、男性に比べて女性のほうが2倍ほど高く、特に20歳前後での発病が多いようです。

原因と症状

●原因
この病気は、かつて不安神経症と呼ばれ、それが1980年に「パニック障害」と「全般性不安障害」に分けられました。
パニック障害は、突然、発作が起こるため、原因も突き止めやすいのですが、全般性不安障害は、いくつもの心配事や不安、ストレスなどが絡み合って発病するため、原因を断定しにくいといわれています。

●症状
「自分が病気になったらどうしよう、大災害に襲われたらどうしよう、家族が事故に遭ったら、仕事で失敗したら……」などという、自分ではどうすることもできない不安に絶えず悩まされます。
なおかつ頭痛や動悸、不眠などの体調不良が半年以上続いている場合は、この病気が疑われます。

《主な症状》
○頭痛
○しびれ
○もうろうとする
○めまい
○動悸
○身体の震え
○多汗
○頻尿
○寝つきが悪い
○外からの刺激に過敏に反応する
○集中力がない
○そわそわして落ち着きがない
○イライラする
○何事も悲観的にとらえる、など

どんな治療が必要?

中心となるのは薬物療法です。
この病気のもとは、「不安」ですから、まずは抗うつ薬や抗不安薬の力を借りて不安を和らげることから始めます。
ケース・バイ・ケースですが、改善がみえてきたら、カウンセリングやセルフコントロール法などの精神療法を取り入れることもあります。

予防することはできる?

この病気を予防する上で大切なのは、心身の調子を整えることであり、そのためには、ライフスタイルの整備が必要となります。
日常生活の中で身体や心に負担がかかるようなことがあれば、少しずつ変えていきましょう。

◎夜型から朝型へ
最近は、夜型人間が増えているようですが、本来、人間の身体は夜眠り、日中は活動するようにできていますから、正常なリズムをキープするためにも、せめて夜12 時頃までに眠るように心がけましょう。

◎毎日、ちょっとでも身体を動かそう
部屋の掃除や短い散歩など、軽い運動でOK なので、毎日、意識的に身体を動かす習慣をつけましょう。

◎疲れをため過ぎない
仕事や飲み会などが続き、「疲れてるな」と思ったら、セーブすることを覚えましょう。
そんなときは早めに帰宅し、心身のリラックスを。

◎お酒はほどほどに
不安を解消するのにお酒はうってつけと思われがちですが、解消されるのはほんの一時です。
酔いからさめたときには、より不安が増してしまうリバウンド現象があるので、飲み過ぎは厳禁です。

お答え

友人や親から「あなたって心配性ね」と言われるのですが、全般性不安障害と心配性の違いを教えてください。

新ガールズクリニック

全般性不安障害の見分け方は、例えば、数ヵ月間、どうしようもないほどの不安で眠れない日々が続いている、仕事が手につかない、絶えず落ち着かないといった、明らかに日常生活に支障が出ているかどうかです。
こうした症状がなければ病気ではありません。

榎本 稔

心療内科医
榎本 稔

1月11日生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、医学博士。日本外来精神医療学会理事長。成増厚生病院副院長、東京工業大学保健管理センター教授を経て、榎本クリニックを開業。 榎本クリニック/電話 03(3982)5321