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第44回 強迫性障害
タイトル人口の約2%の人に見られるといわれている強迫性障害。
自分でもわかっているのに、やめることができない心の病気です。

監修/榎本稔(榎本クリニック)
イラスト/トシダナルホ

日常生活にも支障をきたす
強迫性障害とは

強迫性障害とは、頭に浮かんだ不安な気持ちや不快な考えを取り除くために、何度も同じような行動をくり返してしまうこと。
自分でも不合理でおかしな行為だと自覚しているのに、やめることができない、とてもつらい病気です。
外出時にカギをかけたかどうか、火の始末をしたかどうかを確認するのは当たり前のことですが、強迫性障害の場合、何回、何十回と確認しないと気が済まない状態に陥ってしまいます。
また、実際に確認しても安心することができません。
症状が重くなると、日常生活を送ることも困難になってしまうため、きちんとした治療が必要です。
脳内のセロトニンの調節障害が原因で発症するともいわれていますが、性格や環境も症状に影響をおよぼします。

不快感から生まれる
強迫症状

この病気は、大丈夫だと思いながらも、意思とは無関係にくり返し浮かんでしまう不安や不快感(強迫観念)と、その不安を打ち消すために行う動作や行動(強迫行為)から成り立ちます。
これら強迫症状の内容には、何度も同じことを行ってしまう行動や、自分の中で決めた行為をしないと気が済まない儀式的な行為などさまざまなものがあり、患者により症状が異なります。
また、一人で複数の強迫症状を持つことも多く見られます。

○おもな強迫症状
確認
ドアのカギをかけたか不安になり、何度確かめても安心することができないなど

恐怖
車を運転しているときに、知らない間に人をひいてしまったのではという不安にかられるなど

潔癖
トイレのあとで、ばい菌や汚れが異常に気になり何度も手を洗ってしまうなど

儀式
必ず特定の手順を踏まないと気が済まない(歩くときは右足から出ないといけないなど)

☆動物にも強迫性障害が……!?
犬や猫などにも、強迫性障害に似た症状が起こることも!
手足をなめ続ける、毛繕いをくり返すなどの行動が見られる

こんなタイプの人は要注意
強迫性障害になりやすいタイプ

以下のようなタイプが強迫性障害を引き起こしやすいタイプといわれています。
タイプに加え、転職や結婚といった環境の変化や、ストレスが病気の引き金になることも考えられます。

●不安や緊張が態度や表情に表れやすい人
●ストレスをためやすい人
●優柔不断
●完璧主義
●心配性
●執着心が強い
●きちょうめん

☆強迫性障害は遺伝する?
両親のどちらかが強迫性障害だからといって、必ずしも子供に遺伝するとは限らない。
ただ、肉親の場合行動パターンが似るため、同じ病気にかかりやすいともいわれている

早期治療が
症状改善への近道

強迫性障害は、一般的に治りにくい病気と思われていました。
しかし、現在では適切な処置により症状が改善するケースが多く見られます。
そのため早期に治療を始めることが重要。
治療は抗うつ剤などを服用する薬物治療や、カウンセリングなど患者の症状に合わせて行います。
治療を始めてもすぐには症状が改善されないこともありますが、焦らずじっくりと治療に取り組みましょう。

☆強迫性障害チェック
下記の項目をチェックしてみましょう。
当てはまるからといって、必ずしも強迫性障害であるとは限りません。
ただ、当てはまる項目が多く、気になることがある人は一度病院で受診することをオススメします。

□痛くなるくらい何度も手を洗う
□カギやガスの元栓を何度も確認してしまう
□大丈夫とわかっていても、くり返し頭に浮かぶ悩みがある
□毎日の活動を終えるのに長い時間がかかる
□順序正しいことや左右対称であることの重要性を感じる
□自分や他人を誤って傷つけてしまうことへの不安がある
□不謹慎な考え方に対する罪と罰への不安がある

強迫性障害の人と
接するときには……

この病気の特徴は、患者が自分の異常な行動を理解している点。
わかっているのにやめられないため、悩みも大きく、医師に相談できない人も少なくないよう。
まわりの家族や友人がおかしいな?と感じたら、サポートしてあげることが必要です。
ただし、本人は治したくてもできないことで悩んでいるため「頑張って」という言葉は禁物。
まずは患者が何でも話せるような環境をつくってあげることが大切です。

お答え

強迫性障害のような症状に心当たりがあり、悩んでいます。
この病気は、うつ病とは違うものなのでしょうか?

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強迫性障害はうつ病とは異なります。
ただ、強迫性障害を持つ人が、うつ病を含むほかの精神疾患を併発するケースも考えられます。
うつ病を併発した場合、症状が一日中続くのではなく、よくなったり悪くなったりをくり返すようです。
いずれにしても、早めに専門医に相談しましょう。

榎本 稔

心療内科医
榎本 稔

1月11日生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、医学博士。日本外来精神医療学会理事長。成増厚生病院副院長、東京工業大学保健管理センター教授を経て、榎本クリニックを開業。 榎本クリニック/電話 03(3982)5321