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法的トラブル相談室-第34回-

法的トラブル
お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!

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質問
彼が私の親友と浮気して婚約。
横取りしたB美に慰謝料を請求したい!
イラスト

   3年間つきあってきた彼が、私の親友のB美と浮気していたことが発覚。彼だけじゃなくてB美まで、2年も私をだましてたんです。私はB美のことを信用して、いろいろな相談もしてきたのに……。彼も許せないけど、B美はもっと許せない! だから、せめてもの仕返しのつもりで、慰謝料を請求してやることにしたんです。でも、B美に「慰謝料払ってよね!」と迫ったら、「彼は去年から私と婚約してたんだから、私が本当の彼女であなたが浮気相手。こっちこそ慰謝料請求するからね!」と、逆ギレされてしまいました。慰謝料をとれるのは、私? B美?

(23歳/ふんだりけったりさん)

・恋人が親友のB美と浮気し、婚約までしていた
・B美に慰謝料を請求したら、「浮気相手はあなたのほう!」と言われた
・B美から慰謝料を請求されそうになっている
質問
事実はどうあれ、法律上は婚約者のほうが有利です

  B美さんの行為は人として許せないこと。ふんだりけったりさんが、慰謝料を払わせて思い知らせてやる!と思うのはもっともです。でも残念ですが、この勝負はB美さんに有利。理由は彼とB美さんが婚約しているからです。
ただの恋人関係は法的保護の対象になりません。B美より先につきあっていたのに……、と悔しく思うでしょうが、法律上の男女関係に早い者勝ちの法則は当てはまらないのです。つまり彼の正式な婚約者はB美さん。ふんだりけったりさんがB美さんから慰謝料をとるのはまず無理でしょう。
では反対に、B美さんから慰謝料を請求されたらどうなるでしょう? ふんだりけったりさんが、B美さんとの婚約を知ったうえで彼との交際を続けていたのであれば、彼との関係は「不倫」であり、立派な不法行為。でもふんだりけったりさんは、ニ人の婚約を知らなかったのですから責任を問われることはなく、もちろん慰謝料請求に応じる必要もありません。
こうした事態を防ぐためには、「結婚したい!」と思う異性とは、素早く婚約してしまうしかありません。「恋人」の立場は保護されませんが、「婚約者」であれば法律が味方になってくれるからです。婚約には決まった手続きはなく、ニ人の間の婚約する合意があれば成立しますが、大切なのは「婚約の証拠」を残すこと。口約束だけでは、とぼけられたらそれまでです。いざというときに備えて彼からのラブラブなメールは捨てずに保存。友人や家族にも「婚約者」として紹介し、証人を増やしておきましょう。

質問
弁護士・後藤法律事務所所長
後藤 邦春

裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。