さかもと未明

第十一回

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ジェット上司
第11回 『ジェット上司 』の巻
寒いね~。みんな元気かい? わたしはじつは、最近疲れがたまっているのか寝てばっか。いいことないかな~、が口癖になっています。人生多分どこかで区切りをつけたり、変化をつけたりが大切なんだろうね。で、今度少しお金を使って温泉かホテルに行ってみようかな、と。おすすめのところがあったらぜひ教えてちょんだいね♪

 さて、今回とっても好きだった漫画が連載終了してしまいました。それは『週刊漫画アクション』(双葉社/定価260円)に連載していた『ジェット上司』(作/ながしま超助)。最初の舞台は大手広告代理店。いまいち仕事がうまくいってない主人公の前に、とんでもない上司が現れるの。その人はバブル時代にヒットCMを連発したという伝説の男でその名も「浅野W」!!

 でも、伝説とは裏腹に、その上司がすることといえばセクハラ、つまらないCM制作、社内人事への卑劣な策略。とんでもないただのエロ親父なんだけど、その行動のバカバカしさがどこかで突き抜けていて、憎めない。かえって「かわいい」感じがして、目が離せない。

 やがてその親父は社内でのあまりのでたらめのせいでリストラされるんだけど、説教をたれたり、セクハラしたり、教育したりの「上司癖」はそのあとも止まらない。会社がだめとなると町のラーメン屋に無理やり就職。そこでも上司風を吹かせながら、かつての部下である主人公もまきこんでの、あらたな戦略と大騒ぎのストーリーは展開していく……。

 と、筋を紹介しただけでもくだらないのがわかるんだけど、本っ当にくだらなさが天下一品っていうか、くだらなさすぎて目が離せないって意味で、かなりの名作だとわたしは思っているの。

 もちろんエッチ描写は濃厚で、やたらに巨乳な美人のおねえちゃんがたくさん登場。セクハラされまくり、しまくりで、ここまでやるかのお下劣描写のオンパレード。だけど不思議と女のわたしの目からみて、ちっとも嫌じゃないのよね。多分このジェット上司は(つまり作者も)、女を照れながら愛してはいるけれど、全然軽蔑してない。だからセクハラ描写満載でも、楽しめるんだと思う。

 連載は終了してしまったけれど、単行本で読めるこの『ジェット上司』。涙の結末と、浅野Wが部下に伝えようとした、人生と仕事への教訓が感動的です。ただエッチなだけで終わらないハートフルワンダーランドの『ジェット上司』はぜひ読んでほしい。『てぃんくる』な仕事をする女の子に、サービスの極意を教えてくれる。そんな気がしまーす。
■さかもと未明
OLから漫画家へ。レディースコミック、エッセイ等各誌で連載を持ち、最近「文學界」で小説デビューも果たす。著作は「ゆるゆる」(マガジンハウス刊)「だって幸せになりたいんだもん」(朝日ソノラマ刊)等多数ありのスーパーお姐さん。