カシコイおもてなし
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SMの面白さと難しさ(1/2)

カシおもここまで

前回の続きです。
昨年11月に新宿「ロフトプラスワン」で行われた「SM解体新書」の主催である月花さんから「出演してよ」と頼まれて、「いいよ」と答えたものの、どういう内容なのかイマイチわかっておらず。

「SMマトリックスというのがあって、これでSかMかが的確にわかるんだよ」と彼女は言います。
正直なところ、私はまったく期待していませんでした。

私はよく飲み屋でやっている「SかMかどっち?」という会話が大嫌いです。
そんなに簡単にわかってたまるかと。
いともたやすく「私はM」「オレはS」などと言っているヤツらはたいてい頭が悪いです。
あるいはSMというものをよくわかっていません。
さらに言うなら、人間というものをわかっていません。

「女王様のため」と言いながら要求を通すエゴマゾ

一言でSだのMだのと言っても、内実はさまざまです。
ご存知の方も多いと思いますが、よくSMの世界ではエゴマゾという言い方をします。
「女王様のためなら」と言いながら、実際にはやって欲しいことをやってもらうだけで、自分のことしか考えていないエゴイスティックなマゾのことです。

このエゴマゾと、本心から女王様のためならなんでもすると思っているピュアマゾとを同じMとすることは無理があります。

また、社会的にはS的な人が性的にはMということがよくあります。
私の知り合いでもいますが、ストレスのある仕事をしている時はMだったのに、転職してからはM性が消えてしまった人もいます。
つまり、環境によっても左右されるものであり、時期によっても違い、もともとSだった人がMに転じることもよくあります。

バイセクシュアルの女性には「男に対してはM、女に対してはS」というのもいます。
相手によっても変わるのです。

そこを一緒くたにして、「君はS? M?」なんて会話をしているのはおかしくて、人間をたったの二種類に分けられるはずがありません。

それでも気が弱い私はその場の空気を悪くしたくなくて、「オレはMだね」なんて答えて話を合わせるわけです。
頭が悪いです。

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