突っこませていただきます!
第
13
回

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13
書けない返事 の巻
花粉症の季節です。マスクをするほどひどくはないけど、マスクをしないと鼻がタレる、目がシバシバする……(>-
小室カット
ほんと、久々ですわ。「ファンレター」なんかもらったのは。デビューしたての頃はかなりの枚数もらってたし、それに返事も書いてたしね。一時期は数十人の人と文通状態になってたことも。今思えばマメマメちゃんでしたな、私。
まぁ、きっかけは単純で、年賀状を出したのですよ。 「ご無沙汰しております。お元気ですか」
その程度の簡単なもの。かなり前に手紙のやりとりをしていた人なので、もしかしたらもう忘れちゃってるかな、出したら逆に迷惑かな、結婚してるかもしれないし……いろいろ考えたけど、やっぱり出そう! と。その返事だったので嬉しかったですわ~。
久しぶりの手紙に「何が書いてあるんだろう」とワクワクしながら封を切る。
数分後。
一気にダウン。
悪いことが書いてあったわけじゃないんだ。ただ
「僕を助けて」
と。

手紙でやりとりしてた頃は楽しい話しかしてなかったから知らなかったけど、その人は地方から一人東京に出てきた人だったんだ。友達もいない東京で唯一話が出来たのが私だったんだって。
「心の拠り所」だったと。
人間関係のトラブルから会社を辞め、今は地元に戻ってた。でも、そこでも人間関係がうまくいかなくて一人で悩んで。自殺まで考えていたくらい。

  返事を書きながら手が止まる。
「何をどう書けばいいんだろう……」
その人は、私に夢を抱いていたんだと思う。自分の中にある友人の、または女性の理想像を私に当てはめていたんじゃないかな。
今の私が彼を助けられるか。答えは「NO」。立ち上がるためのアドバイスはできるかもしれない。けど、そこからどうするかはその人次第。他に出来ることがあるとすれば、私は彼の『小室友里という偶像』で居続けること。彼の夢を壊さないでいてあげること。
それってウソなんじゃないの?

  自分の写真が雑誌に載る。言葉が文章になる。発言がインタビュー記事になる。こちらが発信するものに気持ちをのせたとしても、その気持ちって確実には伝わりようもない。それはとらえた人の感情や印象に左右されるものだから。でもそれはとらえた人の真実になる。
彼は小室友里に「この人なら自分をわかってくれる」真実をみつけたんだろうね。本当の私がそんな人間じゃなかったとしても、彼にはそれは真実。だからウソにはならない。
返事を書きながら、また手が止まる。
「何をどう書けば……」
わかってる。優しい言葉を書き連ねて「大丈夫だよ」と一言添えてあげるだけでいい。それで彼はきっと救われる。それを望んでる。
けど、それは自分じゃない。本当の私だったら? きっとこう言ってしまうね。
「人間関係がうまくいかないのは自分自身に問題があるからだよ」
と。
自分と、自分が作り上げてきた他人を魅せるためのイメージ。そして他人が抱く自分のイメージ。この3つがうまく重なることなんて、永遠にないんだろうね。せめて前者2つが折り合えばいいんだけど、いかんせん両極端なこの2つ。重なることなんてない。ま、それは自分自身の責任なんだけどさ。
自分自身を売るって難しい。人前に出る商売をしていれば、一生ついて回るこの問題。久々に悩まされましたわ。手紙をもらって1ヶ月。まだ返事に困っている私。どうしたもんかね。
簡単に書いちゃえばいいのに、原稿以上に考えて時間をかけて、また書き直して。
くだらない悩みかもしれませんが、当人はけっこう真剣なのですよ、これが。
では、また来月。
プロフィール
1975年7月28日生。O型。
幼い頃にアニメを抑制されたためか、大人になってからアニメにどっぷりと浸かっている。
好きなジャンルは宇宙を扱ったもの。「ガンダム」シリーズ、「銀河英雄伝説」、他多数。
かと思えば「ガンバの冒険」も愛していたりする満27歳。
愛機はPCV-RX51。調子悪し。
プロフィール